「水準以上の医療を目指そう」
新年あけましておめでとうございます。きっとよいお正月を元気にお迎えのこととお喜び申し上げます。さて新年にあたり一言ご挨拶を申し上げます。今年は新天皇の即位とともに平成から新年号へと変わるということで、平成時代とは違った新時代の到来が予想されます。私たちも新鮮な気持ちで望みたいと思います。
さて東員病院は創立以来、老年期精神医療の充実に向けて努力して参りました。今や北勢地区の認知症疾患医療センターとしてしっかりとその役割を果たしていると自負しています。認知症疾患医療センターの役割は地域連携拠点病院としての役割のみならず、専門医機能としての①専門医療相談、②認知症鑑別診断とそれに基づく初期対応、③周辺症状と身体合併症の急性期対応などが挙げられますが、まさに当院は薬物治療の調整や手厚いリハビリテーションなどによってBPSDを治療し、在宅への復帰を助け認知症疾患医療センターの役割を果たしております。
認知症治療で困っていることはいわゆるガイドラインが出ていないと言うことでしょう。そのことはとりもなおさず認知症疾患の治療が複雑で難しいという事にほかなりません。診療方針は患者様およびご家族の意向をくみ取り、私たち医療者が決めてゆかねばなりません。したがってしっかりとした医療者としての視座の上に立って臨まなければなりません。その視座とは①「人格の尊重」と「人間の尊厳」、②「患者の自己決定権」と「メディカル・パターナリズム」の調和、③「法の順守」、④疑わしきは生命の利益に、⑤適正な医療プロセスにあると言われています。
ここで最も大切なことは通常行われている医療水準以上の医療を行ってゆくことかと思います。もちろん水準というのが決められるわけではありませんが、前述の視座に立って当院の基本理念である安心、暖か、明るい医療機関を目指す心構えで臨めば水準を超えた医療が行えるものと確信しています。患者様が東員病院で治療を受けて良かったといえる医療を進めてゆくことができるように今年も頑張っていきたいと思います。どうか本年も宜しくお願いいたします。
東員病院・認知症疾患医療センター
院長 山内 一信