新年の御挨拶

2017.01.01

心・技・体

明けましておめでとうございます。きっと明るいお正月をお迎えになられたことと拝察いたします。新年を迎えるあたり、一言ご挨拶申し上げます。

よく武道の世界では、「心・技・体」を整えることが大切と言われています。医療者にあてはめれば、自分自身が豊かな心を持ち、確かな医療技術を備え、健康な体であることでしょう。病院でいえば、「心」は、基本理念にあらわされているように安心・暖か・明るさのあふれる雰囲気があること、「技」は医療技術の進歩に伴い、それが通用する医療水準に達している、即ち医療技術が確かであること、そして「体」は医療機関として健全で持続可能な運営母体になっていることであると思います。

能力を十分に発揮するにはこの「心・技・体」をバランスよく保つことが大切と考えます。「心」だけが勝っていると、慢心につながります。「技」に頼りすぎると、技におぼれ失敗につながります。「体」に自信を持ちすぎると無茶をして体調を壊します。これらのバランスをとることは極めて大切です。そして最も重要なことは、この3つのベクトルをより高いレベルに維持してゆくこと考えます。そのためにはまず自分のあるべき姿と目標を定め、それに一歩ずつ近づいて行くことです。

医療者において、豊かな「心」にするには人とよく交わり、議論をし、さらには優れた文化・芸術に触れることでしょう。「技」を磨くには、より高い人の技術を勉強し、機会をみつけて学術書を読み、研究会・研修会に参加し新しい技術を習得することです。勿論より高い資格に挑戦することもよいことです。「体」を強くすること、これこそ私たちは医療者ですので、ある意味その専門家でもあります。過度な体への負担を避け、食への注意、スポーツなどによる体力増強を図ってゆくことが大事です。これらの3つの力を伸ばしてゆくことで医療者としてのコンピテンシーを上げ、それによって医療機関としての価値を高めてゆくことが出来ると考えます。

これらを踏まえた上で、患者様の立場に沿った医療を考えていかなければなりません。つまり型にはまった対応、ケア、お世話になっていないか?回診に行って「いかがですか?」と言っても患者様には唐突であり、眠りかけているかもしれない、食事を始めようとしているところかもしれない。状況によっては、言葉をかけてもすぐに受け入れてはもらえないかもしれません。日常業務を効率よくこなすため、ついつい流れ作業的になってしまい、思いやりの気持ちがなければ本末転倒です。

患者様が求めているのは型にはまった医療ではなく、誠実な診療であり、医療者の真摯さや、やさしさ、笑顔などではないかと日々、感じています。ヒポクラテスという医聖が言うことに「至誠是神」という言葉があります。誠実な心こそ大切であると思います。この「誠」が出てくる根本はやはり「心・技・体」の整った個人からであると思います。これらをしっかり整え、「心の通った医療」に励んで参りたいと考えます。

どうか今年も皆様にとって良い年であり、当法人の発展を祈念してご挨拶申し上げます。

 

20141231210447_1-1

医療法人康誠会 東員病院

院長 山内 一信